小川 糸さんの著書「ライオンのおやつ」を読みました。いまから5年ほど前の本です。この本は亡き母が養護施設で読んでいたであろう本です。母が亡くなった時に施設から母の遺品として譲りうけた本です。長らく自分の本棚に飾ってありましたが、2025年お盆休みの時に読みたくなって手に取りました。
タイトルの「ライオン」とは?「ライオンのおやつ」?何のことが書いてあるのかと思っていましたがこの本は33歳という年齢の女性がステージ4の癌にかかり終末医療を拒否し瀬戸内海にある「ライオンの家」という終末期を過ごす施設に入り死を迎えるまでの物語です。
欲しいおやつをリクエストできたり、やりたいことをやりたいように過ごすことができる環境の施設なのです。主人公は雫という名前の女性で母親は死別、父親は再婚をして離れて暮らしており一人で癌と闘い、死を覚悟してこの施設にやってきたところから始まります。
場所は瀬戸内海に浮かぶ島でのどかな気候で大変魅力的な場所として描かれています。終の棲家としては最高の環境であると言えます。
その施設で出会う、同じように余命短い人たちとの交流や島の人たちの心の動きを描いていきます。
亡き母はこの本をどんな思いで読んでいたのだろうと考えてしまいます。母も終の棲家は養護施設で過ごし、最後は病院のベットの上でした。
この本を読んでいた母は元気な時だったのか、そうでなかったのかはわかりませんが死を迎える心情を本の主人公に重ねただろうか、と想像してしまいます。
私自身はまだ70歳前ですので母がこの世を去った年齢より25歳も若いのです。でも残りの25年どのように生きて最後を迎えるのか、何があるのだろうか等と思ってしまいました。
できるなら「ライオンのおやつ」のようなのどかな、静かな環境に身を置いて次の世へ旅立ちたいものだと思いました。