あの事件から何年経過したんでしょう。2001年に発生した事件ですので23年は経過しています。
約3,000名が亡くなったと聞いています。その中に日本人が24名いたそうです。
その中の一人に証券会社に勤務していた人が亡くなりました。その父親が首謀者とするオサマ・ビンラディンへ手紙を書いたそうです。どうして自分の息子が死ななければならなかったのか?と。
文章は翻訳し伝手を頼りに渡せるように奔走したそうです。
しかし、返事はなかった。
そこで父親はアフガニスタンへ行きます。オサマ・ビンラディインに会うために。
父親は彼に会えることはありませんでした。
父親がアフガニスタンで見たものはテロの直後にアメリカがアフガニスタンを爆撃した街と、怪我をした子供たちです。
怪我をした子供たちはアメリカを憎み、同じ目に合わせたいと。
ここにあったのは憎しみの連鎖だったのです。
ここで思い出されるのはブッダの言葉です。
「まこと、この世においては、怨みに報いるに怨みをもってしたならば、ついに怨みの息(や)むことなし。怨みを捨ててこそ息む。これは永遠の真理である」
お互いを正義をかざし闘争を続け人々を傷つけ合えば合うほど、憎しみは深くなっていきます。
24年が経過した現在でもウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナが憎しみ合い、殺し合い憎しみを深めています。
一時、勝ったと喜んでも、その憎しみは消えることなく深く沈み膨張し、いつしか爆発し再び争いが起こるのではないのでしょうか。
このドキュメンタリーの最後には父親が何度かアフガニスタンに足を運び交流を深めた9歳の少年がいたそうです。その少年の名を10数年後調査したところアメリカ人を狙ったテロ事件で銃撃の末、亡くなったアフガニスタン側の犯人に同じ名があったそうです(同一人物かは明確ではありませんが)
やられたらやり返すは終わりがない。この悪い流れを断ち切るには相手を恨む気持ちや怒りを放り出すことこそが本当の勇気だとブッダは語っています。