かなり以前の話であるけれど「さかなクン」の新聞への投稿が話題になったことがありました。
この時の文章はこのようなものです。
中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩(せんぱい)が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。
でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。
広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。
中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。
ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。(朝日新聞2006年12月2日掲載)
現在、さかな君はTVでよく見かける有名人ですが、こんな過去があったんですね。
ここでいうメジナの世界でもイジメがあったということ。
狭い水槽に入れたことで起こったという。
このことは同じ動物である人間にもいえることです。
人間の集団心理
個人が集まって集団となると一人の時には思っていなかった態度や振る舞いを取ることが知られています。このような心理を集団心理と言われています。
これから四つの集団心理をご紹介します
同調行動
会議や学校のクラスなどの時によくある話ですが、何か意見を聞かれ、挙手を求められた時に自分の意見に挙手をしようとしたけど、大勢の他の人が別の意見に挙手をした時に回りを見て自分の判断を変えて大勢の挙手に合わせてしまうような行為です。
この行為は自分の失敗体験や自信が低下していると同調しやすいこともわかっています。
権威による服従行動
権威に服従する人の行動を明らかにした実験がありました。有名な実験でアイヒマン実験といいます。
①教師役②実験者③学習者役がいて、教師役が質問を出して間違う度に実験者は教師役は電気ショックを与えるという実験です。
実は電気ショックは実際に流れていないけど、学習者役の人は電気ショックの強度が上がるたびにうめき声や痛がる素振りをして、もうやめてほしいと懇願します。
教師役は電気ショックが流れていることを理解して実験者の指示に従い、どんどん電気強度を上げていきます。
学習者の死に至る強度になっても教師役は実験者の指示に従い強度をあげることに躊躇しなかった。死んでしまう強度に達して学習者がぐったりしても止めなかった。
傍観者効果
次は、傍観者効果です。
これは援助を求める人に対して周囲の人が傍観者となり、何も援助をしないことを意味します。
援助を必要としているのに、周りに多数の人が集まってしまうと、自分が援助しなくても周囲の人も援助しないから責任はみんな一緒になるので大丈夫だろうと責任に分散を考えてしまう。
仮に自分が援助したとして、周囲から否定的評価が起こってしまうかもしれないという評価懸念を考えて援助しない場合もあります。
周りの人も何もしないからそんなに緊急ではないのだろうと考える多数の無知という思考になる場合もあります。
集団極性化減少
穏健な人が集まっての集団討議による意思決定は一人の意思決定は比べて冒険的な性格を帯び、
場合によってはまったく不合理で間違いかと思うような判断を下すことがあるといいます。
かと思うと保守的な判断にもなりやすいのが集団化極性化といいます。
まとめ
人が集団になると個人ひとりではありえなかった方向になりがちなことがあることがわかりました。いじめはこんな人の性質になる可能性があるんです。個人一人ひとりはとっても良い人たちでも集団になると、普段とは違う面を出してしまう。
私個人が他人にいじめを起こすことがないようにしないためにどのようにすればいいか
集団の心理に陥らないようにするために何をどのようにすればいいのか。
自分の軸をしっかりと持って生きることを見つめることが大切だと感じています。
集団といえば、街や地域や国があります。国そのものが極性を発揮してしまうと戦争になってしまいます。他国をイジメ(略奪)するようなことも起こり得ます。人間の性ですね。