これは人は生まれながらにして親切するようになっているというデビット・ハミルトンという方の著書を紹介するものです。まずは冒頭で副作用の5つをご紹介しておきます。
1.人を幸せにする
2.心臓によい
3.老化を遅らせる
4.人間関係を改善する
5.そしてそれらを拡散していく
このような5つをあげています。
順を追ってその説明をしていきます。
第一の副作用 幸せをもたらす
親切とは何かを説明しています。「やさしさ、心が広く、思いやりがある性質、行為」をさします。
親切をすることで自分の気もちが明るくなったり、自己肯定感が上昇したりすることは多くの実験で知られています。
親切という行為にはお金をかける必要がなく自分の心一つで行える行為です。
事例としてカリフォルニア大学の実験の結果を紹介しています。
ボランティアの人たちに一週間に5つの親切を6週間続けて行ってもらいました。
その結果、意図的に親切をしなかった人たちと比較した実験です。その時の親切とは献血、友達の宿題を手伝う、病気の親戚の人を訪ねる、お礼状を書くなどを行ったといいます。
その結果、親切を行った人たちは幸せな気分になったといいます。特に同じ日に5つの親切をした人は気分が高まったそうです。
人へ親切をするということは、他人との関わりを持つことであるので、その関わりを持つという”人とのつながり”が幸福感を生み出すとしております。
第二の副作用 親切は心臓と血管を強くする
これはどういうことかといいますと、温かさを感じ、高揚感を得て、刺激や精神的なつながりを得て体によい影響を及ぼすとしています。
科学的に見てみると脳内神経伝達物質のオキシトシン(絆のホルモンとか愛のホルモンなどと呼ばれる)の分泌が活性化する。
このオキシトシンは①動脈にもっと血液が流れるようになる②心臓を始め臓器にもっと血液が届くようになる③血圧を下げる、などの効果を出してくる。
この①の効果というのは一酸化窒素(NO)を作り出し、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)が作られる。これらは極力な血管拡張剤みたいなもので動脈に入ると動脈は拡張することで血流は良くなり血管にとって良いということになるわけです。
この一酸化窒素(NO)はLDL(悪玉)コレストロール値を下げたり、HDL(善玉)コレストロールを良くしたりとバランスを取る。心臓病や脳卒中につながるプラークの蓄積を防いでくれる。
第三の副作用 親切は老化を遅らせる
これは第二の副作用に関係することですが、老化とは細胞や血管の老化に他なりません。
つまり血管の若さを保つ必要があるのです。つまりオキシトシンの分泌で血管が良くなる、そして血流がよくなり心臓にも良いということになります。それは老化の進行を遅らせることに繋がっていきます。
さらに脳内神経の活動を活発にすることです。研究結果から思いやりと親切を実行すると脳内神経の活動性が高まるという結果を紹介しています。
老化を早めることになる要因という側面から見ていくと、酸化ストレス、テロメヤの短縮、免疫の衰えなどがあります。テロメヤとは聞いたことがない人も多いのではないでしょうか。これはDNAの末端部分で細胞が分裂するときにDNAがほぐれないようにとどけめているものでテロメヤが擦り減らないために必要なものです。
これらにも親切な行為が多くのストレスを遠ざけてくれてよい影響を与えていくという報告がなされています。
第四の副作用 親切は人間関係をよくする
人間が生きてきた進化の過程には「絆」というものが大きく関係してと述べています。
人間が生き延びていくために人間関係同士の絆は、飢餓や他の動物などから身を守るため必要不可欠なものだったのです。
夫婦にもいえることなんですが、「絆」を作っていくために必要な黄金律があるとジョン・ゴットマンというワシントン大学教授がいっています。二人の間でネガティブな言動1回に対してポジティブな言動が5回あれば2人の関係は長続きする可能性があるという比率です。
例えば、軽蔑、敵意、否定的意見、自己中心、無関心な言動1回に対し、親切、愛情、愛、支え、耳を傾けるが5回あるというものです。
親切は人間関係をつなぐ接着剤みたいなものとしている
行動としてはとても単純なことですが、相手の呼びかけに対して「相手に顔を向けるか」「相手から顔をそむけるか」のいずれかしかない。顔をむけずにテレビや新聞を見たままというのは顔をそむけると同じこととしている。
第五の副作用 親切は伝染する
小さな一つの親切がそれを目撃した人の気分を高め 別の人にもその親切を伝えようという気にさせ 他の人たちの気分まで高めていきます
これは 波及効果 または ドミノ効果と呼ばれるものです。
ある親切な研究がありました. サラ・アルゴー とジョナサン ハイトという方が162人の学生にした研究です。
その学生たちが自分自身が行った親切によって感じ得た体の感覚、 やる気 行動を詳しく記録しました 。
親切な行為を目撃した学生たちは胸が暖かくなり自分が目にした親切と同じようなことをしたくなったと報告しています。
また親切をしてもらった学生たちは 感謝の気持ちを感じて受けた親切に報いたいと思い、 その親切な行為を自分もしたいという気になっていたんです。
このような研究結果は他の研究でも見受けられるようです。
正に今の日本と台湾の関係ですね。
日本で大きな地震があると台湾の方々はいち早く支援の手を差し伸べてくれます。また台湾で地震があると日本の人たちは台湾の人へ恩返しをしたいと多くの人が思い行動しています。
高揚感 は自分が目にした親切を自分でも真似たいという、 あふれるような思いを生み出し 親切の力を広めたいという思いを抱かせるのです.、意識して過去にしてもらった親切の記憶を思い出すと実行にもつながります。
意識して幸せの記憶を思い出すというのと意識しないのとでは大きな違いが出てきてしまいます.。
意図的に意識して行うことによってその行動は積極的に変わってくるのだと言います。
「朱に交われば赤くなる」ということわざがありますが、 これは科学的に正しいと言えるようです。
子供を対象にした実験でもそのことが明らかに出てきています 。
子供たちは周りに見えるものを自然に感じ取っています。
つまり 大人である私たちが 親切な行動を見せたり何らかの形で愛や親切を表現したりするだけでそれを見ている子供たちの行動に影響が出てきます。
このようなことは 大人の職場でも見受けられるのです。 管理職が部下に対して親切で敬意を持っていれば 部下も仕事を愛し 実際の仕事の成果も上がるんです。さらにそれは 顧客をもっと満足させることにつながっていきます 。
もう1つ ことわざ を例にあげるとすると「情けは人のためにならず 」というものがあります 。これは親切が巡り巡って自分に戻ってくるという話なんですね。
親切という行為をすることが何かしら 自分の得になるというような 損得を考えたとしても、親切は何らかの心を温め 高める 力につながっていくのです。
真実を行った人が損得で動いたとしても、それを見ていた人は心が温かくなり、 親切を他の誰かにするということにも繋がっていくのです。
まとめ
親切は打算的だと思っても偽善者だと思ってもやめてはいけません。
そこにどんな理由があろうが親切は成果を生み出すのです。
親切の副作用というものをここまで見てきました。
いい副作用もたくさんあるということが明らかになったかと思います。
では 具体的にどんな親切をすればいいのかと思う方もいらっしゃる かもしれません。 何かお金がいるのとか自分はそんな時間がないよとか 忙しいんだよ とかできない理由をいくつもあげているかもしれません。
親切とはお金も時間も全くかからないものがたくさんあります。
仏教の教えにも無財の七施というものがありますが、 それらを見ていただきたいと思います。
簡単に考えるとこんなこともあるかもしれませんね という例を挙げさせていただきます。
- 重そうに買い物袋を持っている方にお 1つ持ちましょうか と声をかける
- スーパーのレジの行列で自分の前に人を入れてあげる
- 物を買った時 店員にありがとうと笑顔で言う
- 人を褒めること
- 誰かにお礼状を書くこと
- バスや電車でお年寄りや怪我をされた方に席を譲ること
- 困ってる人の味方になってあげること
- 誰かのためにプレゼントを買ってあげること
- 献血することもあります
- ボランティアに参加すること
- いいサービスを受けた 会社宛てにいいサービスをした方へ コメントを書くこと
- お年寄りの話し相手になってあげること
などなど親切はたくさん 周りにすることがたくさんあります。
そして、その親切をすることによって自分自身に素敵な副作用が現れると思いますよ。